教育専従科長の対談シリーズ・第6回

「科長の職場づくりへの想い」

科長 米本尚子(外科)
教育専従科長 飛田勇介

「安全って何?」を常に自問自答する毎日の中で、人を育てるということを強く意識したい

-米本さんは7月に科長に昇格され半年が過ぎましたが、振り返ってみてどうでしょうか
米本副科長を経験していたので、科長の仕事のイメージはできていたと思いますが、実際、科長が着用するこの赤いユニフォームを纏うと、周囲からの見え方を意識し、自覚が芽生えたと思います。例えば、患者さんから「あの赤い服の人」と言えば私しかいません。副科長の時とは違い、病棟を守るという自覚が生まれたと思います。
飛田部署を運営していく中で大切にしていこうと思われていることはどんなことですか。
米本患者さんの安全を第一に、そのためにスタッフの安全もしっかりと考えるということですね。科長になって「安全って何?」ということを常に自問自答しています。構造や環境的なこと、提供する看護の質、安全であるための基準・・・そんなことを自問自答しています。
飛田安全が大事ということがわかっていても、どう安全を維持するのかということが大変ですよね。
米本そうですね。私は、科長になり、一人で管理できる人数はたかだか知れているということに気づき、人材の育成が急務であると思いました。副科長の時も一人では限界があると感じながらも、私が背負った方がスタッフも多少ゆとりもできるだろうと考えていました。しかし、今は、私がいなくても部署が滞りなく運営されるためには、同じ意識のスタッフを育成することが質の担保に繋がると思い、人を育てるということを強く意識しようと考えています。
飛田私たちの仕事は向上心、向学心がないと患者さんの満足を得続けることはできないと思います。しかし、すべてのことが高いレベルでできるほど人間は万能でもないので、何に興味があるのか、何に興味を持つのかといった観点から若いスタッフの育成に関わってくれる人材を増やしたいなと私も常々思っています。

「好き」や「得意」を管理者が認識し、スタッフ同士も知り合うことで、成長し合える環境を作りたい

-米本さんは、人材を育成するにあたりどういうことを大切にしていますか
米本飛田科長も仰ってますが、私は、「好き」を伸ばす、「得意」を伸ばすということを大切にしています。そのために、スタッフをよく観察し、気に掛けることを心掛けています。簡単なことで言うと、患者さんへの声掛けが素敵だったら「今の声掛け、すごい!」、記録の書き方が良かったら「この記録、いいね!」と間髪入れずに称賛するようにしています。これは、日常的なシーンですが、「好き」や「得意」を管理者側が認識することで、成長したいと思ってもらいたいと考えています。

-時として、「好き」や「得意」が見えない、あるいは少しとっつきにくいスタッフもいるかと思いますが、そういう人への関わりはどんな風にされていますか。
米本組織の中にはいろいろなタイプの人がいます。管理者としては自分の好みや苦手意識でスタッフと関わるのではなく、その能力をいかに引出し組織の目標を達成するかという視点が大事だと思います。やはり、その人の「好き」や「得意」を見出していくことにこだわり、成長支援をしていきたいと思います。
飛田とっつきにくい人は私にもいました。しかし、苦手意識で分け隔てをしてはいけないのは言うまでもないことですが、私がそう感じた人ほど敢えて積極的に関わるようにしていました。結局、関わることでしか、人は分かり合えないので、そう思った人ほど先手を打って、お互いがストレスにならないように関わるように心掛けていました。
米本そうですね。それと、スタッフ同士がお互いの得意を知り合い相談し合える環境になるようにしていくことでも成長支援を日常的にでるのではないかと思います。

一人ひとりの一歩踏み込んだ経験の中で、成功体験を積み上げ、看護の力を高めてもらいたい

-さて、今後のビジョンを聞かせてください。
米本固定チームナーシングという看護方式を取り入れていますが、もっと機能的に運用していきたいと思います。
飛田リーダー、サブリーダー、スタッフという一定期間固定したチーム内のそれぞれの役割の中で、看護師個々の質に依存せず、固定した場所の患者に対し、質を担保した看護を提供するとともに、それを提供する看護師一人ひとりが育っていくのを固定したチームメンバーでサポートするシステムです。看護方式とは取りも直さず看護師の働き方でもあります。つまり、その中で、人材育成が行われおり、リーダーシップなども培われていきます。決して潤沢ではない人員数だからこそ選択したこの方式を、どう効果的に機能させていくかがとても楽しみですね。
米本その中で、様々な成功体験をすると思います。小さな成功体験、大きな成功体験などいろいろな捉え方の中で、自分の看護を高めていってほしいのです。
飛田それぞれの看護師の目標を支援していくマネジメントですね。
米本私や主任、リーダーがこれまで現場でやってきたことを経験させたり、医師や多職種との関わりを一歩踏み込ませたりしながら、一人ひとりに視野を拡げ、深くものごとを考える機会をたくさん提供していきたいと思います。
(聞き手:人事コンサルタント 石田秀朗)