教育専従科長の対談シリーズ・第4回

「科長の職場づくりへの想い」

科長 黒田智美
教育専従科長 飛田勇介

患者さんの想いに最も適切な対応をする視点から、自分たちの仕事や働き方を再認識したい

-黒田さんは、この病院で働かれてもうすぐ1年ですが、振り返ってどのような感想をお持ちですか。

黒田イメージしていたものとは違いましたね。ただ、それは、この病院にはこの病院の課題があり、以前勤めていた病院には、その病院の課題があるということで、課題がない病院はないと思います。

-具体的にはどんなことを課題として認識されましたか

黒田どんな組織でも、その組織特有のローカルルールのようなものがあるのですが、それが時としてプラスに働くこともありますが、必ずしもプラスにならない、あるいは、マイナスになることもあります。社会の変化に伴い、自分たちを変えていく必要があっても、それに慣れてくると自ら変わることができなくなります。どこにでもある話ですが、この病院も変わらなければという思いを強く持ちました。
飛田社会の変化に伴い、そのニーズに対応していくために病院のスケールはどんどんと大きくなってきました。ただ、ここで再度、私たちのビジョンは何で、それを実現するためにはどういう働き方をすべきかということについて、概念的なことだけでなく、具体的な勤務体制、報告・連絡・相談のルールについてもしっかりと考えていく必要がありますね。
黒田そうですね。患者さん・ご家族の想いに最も適切な対応を可能にするにはどうすればいいのかといった視点から、自分たちの仕事を考え、働き方で対応し、看護を進化させるということを再認識したいと思いました。
飛田この1年大変だったのではないかと・・・
黒田試練ですね(笑)。ただ、試練を楽しむという気持ちです。患者さん・ご家族に対していい看護をしたい、そんな組織にしたいので、それは楽しみなわけです。

わかるが増え、使えて楽しい、喜ばれて嬉しい!明日使えるものの学びを積み重ねていきたい

-具体的に、どのような取り組みをされているのですか。

黒田手前味噌ですが、うちのスタッフは、一人ひとりと接するととても素直で人間的には素晴らしいのです。つまり伸びしろが大きいと思っています。これまで、忙しくしていたのか、学ぶ機会が少なかったようですね。そこで、医師との勉強会をし、知識の確認や習得する機会を増やすようにしています。
飛田みんな楽しんで学んでいますか。
黒田はい、楽しいそうですし、嬉しそうな様子を感じています。知識を深めることで日常の仕事に繋がってくることが増えてくるので嬉しそうにしているのだと思います。成長実感もあるようです。
飛田確かに、黒田科長が来られてから変化というものを感じています。スタッフが五感を使って仕事をしているように思っています。患者さんへの寄り添い方、わかりやすいことで言えば、ナースコール等の対応にもかなり機敏に感じます。学ぶことで、実践の中でも多方面から疑問が生まれ、それを解消するために学びを継続するといった感じなんでしょうか。教育担当としては、ユニットごとでもっと考えていくことも大切だなと反省させられます。
黒田わかるが増え、使えて楽しい、喜んでもらえて嬉しいを実現するためにも、明日使えるものを学ぶということを積み重ねていきたいと思います。

-さきほど「個々の一人ひとりと接すると・・・」とお話しされていましたが、個々のコミュニケーションもかなり大切にされているようですね。

黒田できているかどうかは別にしてくださいね(笑)。仕事以外のことも気に掛けるようにはしているつもりです。以前の職場では、私は気に掛けない人だったんです。しかし、ある上司との出会いがきっかけで、これではいけないと思うようになりました。日常的雑談もしつつ、仕事のことについては問いかけるときは、スタッフにとって仕事を自分事にしてほしいので、なぜを繰り返し、課題については自分で考えてもらい、困ったらヒントとなる選択肢を提示するといったコミュニケーションを心掛けています。自発性を大切にしたいのです。それは、スタッフを成長させたいのと、信頼関係を築きたいからです。
飛田管理の仕事はこうあるべき言い聞かせてスタッフと接すると結局は信頼関係も築くのが難しくなるし、個々の成長意欲も削がれるかもしれませんね。黒田科長の話を聞いていると、仕事のあり方をお互いで共有し、ベストの看護は何かを一緒に追いかけている感じがします。それには、スタッフが自発的に看護を捉えないといけないということですね。

出勤したら、患者さんの話を自然にしている「看護の楽しみや喜び」を共有する職場にしたい

-黒田科長は看護という仕事に楽しみを感じながらスタッフの皆さんと関わられているように感じているのですが…

黒田看護にはたくさんの楽しみがある仕事だと思います。入院された患者さんが、こうしたいんだろうな、できないという状態、例えば、食べること、入浴することなどもできない。そんな患者さんの援助をする中で、私たち看護師は大いに創意工夫をするわけです。そうして様々な試行を繰り返す中で、患者さんの表情に変化があり、どんどん回復されていく過程に関わっているのです。患者さんと共に良くなっていくという実感、これは、この仕事をしている有難い経験だと思います。
飛田そういう思いや過程をもっと共有していきたいですね。
黒田そうなんです、看護の楽しみや喜びをみんなで共有したいです。だから、普段からもっと患者さんの話をお互いするような雰囲気を作りたいです。出勤したら、スタッフ同士が自然と患者さんの話が出るような職場づくりですね。
飛田当たり前と思っていることがそれぞれによって当たり前が違う中でスタッフをやる気にさせていくのは難しいことだと思うのですが・・・。
黒田やはり、それにも患者さんの話、看護の話を共有する風土をつくり、看護の質を高めていきたいという思いでいっぱいです。具体的には、入院から退院まで同じ患者さんを担当し、自分が担当する患者さんという思いと責任を強めてもらい、個々の意識と能力の向上を図っていきたいと考えています。
飛田私自身の課題として、理念を体現する看護とは何か、そのために必要な人材とは何か、そういう人材をどう育成するのかといったことを考えさせながらお話を聞かせて頂き、大いに学ぶ機会となりました。