教育専従科長の対談シリーズ・第1回

「科長の職場づくりへの想い」

科長 是枝和加子
(循環器、糖尿病・腎臓内科病棟)
教育専従科長 飛田勇介

多様な部署を経験して看護科長として今想うこと

-部署異動があったと聞きましたが、現在の心境はどうですか?-

是枝 そうですね、数年間は手術室や中央外来といったいわゆる特殊部署で管理をしていましたが、このたび度数年ぶりに一般病棟への異動となりました。その一般病棟も数ケ月後に異動し、今年度に入り2つめの病棟となります。救急外来を擁した中央外来では、部下からの報告を受けて、というよりは直接現場に赴き判断を下す場面がよくありました。ですから、一般病棟へ異動してきて、まず感じたことは、病棟のスタッフがある程度自立して仕事ができているなぁということです。久しぶりの病棟なので、私がまだ感覚を掴めていないのもありますが、日常業務の中で、病棟での管理に少し戸惑いを感じる自分と、自立して業務を進めていくスタッフとがうまくの関わるにはどんな方法が良いのかを考えないといけないと感じました。

-メンバーそれぞれが仕事を完遂しているということですか?-

是枝 重要な判断が必要な時は別でしょうが、一般業務では自立していると思います。だからと言って報告・連絡・相談がないわけではありません。ただ、報告・連絡・相談の有無に関わらず科長として全体を管理するということは同じでも、情報の内容やタイミングによって自ら現場に赴く場所や判断材料も変わってくるので、報告・連絡・相談を待つのではなく、私自身がしっかりと必要な情報を取りに行くスタンスでいこうと思っています。

看護の質をどう捉えるか、その判断基準をどう構築するかをしっかりと考えたい

-それぞれのメンバー自身が判断して仕事をするということは喜ばしいことだと思いますが、その点についてどのようなお考えをお持ちですか?-

是枝 そうですね、自立して仕事に取り組むという姿勢は喜ばしいことと思います。ただ、部署全体での看護の質をどう捉えるか、それに伴う判断基準をもとに仕事に取り組む状態を作っていく過程が大切だと思います。
飛田 私も判断の妥当性、つまり、それぞれが築き上げてきたキャリアや経験によって基準は違ってくるので、個々の判断能力を統合して部署単位としてどう評価するかが重要と思います。これはなかか難しいことだと思いますが、自立しているように見えても、実は質の担保については見逃されている部分もあるかもしれませんからね。
是枝 病棟の看護の質を上げていく上では副科長や主任、副主任はとても能動的に働きかけてくれています。私自身のビジョンや方向性についてじっくりと共有していかなければと思っています。
飛田 確かにそれは大切ですね。まずは科長と副科長や主任などの役職者で自部署の未来や目標について日常からのコミュニケーションを図っていくということですね。
是枝 はい、そうです。わたしの意見だけでなく、副科長や主任、副主任が考えていること、やりたいこと大きな括りのものから日常的なことについてももっと知りたいですし、常に一緒に考えていく姿勢でありたいと思っています。
飛田 個人での業務は何とかこなせている、しかしチームとしてはどうなのか?どうすれば全体の底上げになるのか?『自立』させるための現場教育はどのような関わりが必要なのか?など私自身にとっても大きな課題として捉えています。
是枝 要は、それぞれのチームや部署全体でのビジョンや方針、それらに基づく目標を前提に日常の仕事に落とし込めているかどうかということですね。
飛田 部署の目標達成に向けてどう実現していくのか、それを達成するための課題をどう克服していくのかなど個別レベルでは解決は困難ですよね。やはり科長の存在があり、それを副科長や主任などが中心になって部署全体の教育風土を作ることが大切なのかなと思います。

科長としてメンバーの熱い想いや看護観を支え、お互いが補完できる風土を築きたい

-今後について何か計画している教育的なことなどありますか?-

是枝 年内の早い段階でみんなの想いを聴こうと思っています。大きな問題等は発生していませんが、現状維持をしていこうなどとは思っていませんので。一人ひとりが仕事についてどう考えているのか、自分自身がどうしていきたいかなど本音をじっくりと聞いてみたいと思っています。
飛田 それはいいことですね。私自身も病棟で勤務していた頃は、副科長や主任の想いについて聞きたいと思っていましたが、ついついわかってくれているだろうと思い、話す機会を失うことがよくありました。でも、実際は、中核である副科長や主任達ほど自身の思い描く看護観を実際の看護として体現できていないんじゃないかなという気がしていましたし、今もそんな気がしています。今となっては、もっと話す機会を作ればよかったと思っています。
是枝 経験年数に関係なく本音を言える、語れる機会を作るのが私の役割だと思います。熱い気持ちを持っていることは感じていますが、個々の熱い想いから行う指導も、ややもすれば、メンバーにとって小言を言ううるさい存在ではないかと指導者側が遠慮がちになり腰が引けてしまっているのはよくある話です。そういう想いにも向き合い、理解し、支えていくようにしたいと思います。
飛田 まずは、やはり役職者同士がもっと相互理解しあうことが重要だろうと思います。次に役職者とメンバー、そしてメンバー同士がお互いの看護観を知り合い、学び合おうとすれば、そういう機会が増えてくる予感がします。看護観に焦点が当たることで、考える看護が日常化し、看護の質の向上につながると思うので、そういうプロセスを私自身も学びたいと思います。
是枝 お互いの不足が分かり、得意が分かるので相互に補完する関係性もできそうですね。実際のケアや関わり方を見て、それがロールモデルになっていくようになれば、より部署内研修の充実に繋がりますね。そのような人材が生まれてくる環境作りをしていきたいと思います。
飛田 そうですね。楽しみが増えて来ましたね。

※聞き手 石田秀朗(人事コンサルタント)